脳梗塞の障害乗り越えピアノ演奏。落語家・桂む雀の生き方/大阪

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大阪市内にあるマンションの一室から聴こえるピアノの音色。曲調はゆっくりだが、和音で奏でられた音は心地よく響きわたる。このピアノを演奏するのは、落語家・桂む雀さん。かつては関西のテレビ・ラジオでレギュラー番組多数持ち、中国語落語を披露するなど多彩な活躍をみせたが、脳梗塞で倒れ右手足に重い障害が残り、流ちょうな「しゃべり」も失った。表舞台から姿を消し、人と会うのも嫌だった日々が続いたが、ふとしたきっかけで楽器と出会い、今では左手だけでピアノやハーモニカを演奏しコンサートを開くまでに。「今があるのは兄弟子と友達のおかげやねん」。そんな言葉を胸に日々練習に励み、多くの人の感動を呼んでいる。

ラジオ収録中に倒れる、字も記憶から消えた。

 大阪市出身の53歳。1981年にあこがれていた故・桂枝雀に弟子入り。古典を得意とし、明るいキャラクターで人気のテレビ番組「おはよう朝日です(ABC)」では、各地の店へ出向いて値切りを交渉するバーゲンダーなどで、お茶の間の人気者に。以後、数々のテレビ・ラジオ番組でレギュラーを抱えていた。しかし2005年3月3日、自身の冠ラジオ番組「桂む雀の夕刊探検隊(ABC)」収録中、とてつもない頭痛などで意識を失い、病院へ搬送された。む雀さんは「あの時のこと、いっこも覚えてへんねん」と振り返る。
 倒れてから3日後に意識が回復。スタジオにいたはずの自分は病院のベッドにいた。そして少しずつ体の異変に気づく。右手足が動かない、言葉が出てこない。そして、ひらがななど、字も忘れて読めなくなっていた。落語を愛し、倒れる直前には「中国語落語」を披露し、スポーツ新聞でも取り上げられるほど多彩な活躍をみせた男が、なにもできなくなっていた。次第に「この姿を人に見せたくない」という思いから人との面会を避けていった。