あの手この手の生き残り戦略が繰り広げられるメードカフェの激戦地、大阪・日本橋に“男装”をコンセプトにしたカフェが登場した。執事のコスプレをした女性店員(キャスト)が、「お嬢さま」と呼ぶ女性客にはこまやかな気配り、「ご主人さま」と呼ぶ男性客には男同士の友人のように接客。男女問わず支持を集めているようで、サブカルチャーの奥深さがうかがえる。
「お帰りなさいませ、お嬢さま」。入店時に掛けられる声は、黄色い声が飛び交う他のメードカフェと違い、しっとりと落ち着いている。日本橋で話題を呼んでいる男装カフェ「アライブ」(京谷帝店長)は2013年5月にオープンした。
キャストたちは、鎖骨や手の甲の骨が浮き出て男らしく見えるよう、やせ気味の体重をキープ。カラーコンタクトレンズや鼻筋をすっきり見せるメークで中性的な魅力を演出する。
キャストの特徴もさまざま。眼鏡をかけたインテリ系は英語と中国語が堪能で、店内で「お嬢さま」の家庭教師を務めることもある。お笑い系は切れ目のない“マシンガントーク”が持ち味。ホスト系は「上から目線」で来店客を喜ばす。
キャスト希望者は多いが、得意分野がかぶると採用しない。メードカフェ店員や地下アイドルの経験もある帝店長は「大阪はコンセプトだけでは駄目。トークしてなんぼ。キャストのキャラが偏ると飽きられるのも早い」と冷静に分析する。
女性をメーンターゲットにする男装カフェだが、来店客の4割は意外にも「ご主人さま」。週に5~6回来店する男性会社員(38)は「人気メードを客同士で奪い合うギスギス感がない。トークの引き出しが豊富だから友達感覚で話せる」と居心地の良さにはまっている。
ブームが下火になりつつあると言われるメードカフェだが、新しいコンセプトと綿密な戦略が性別を超えてヒットを呼び込んでいるようだ。
ー 大阪日日新聞より