中国無人探査機、月面に軟着陸 米ソに続き3カ国目

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日本経済新聞 【北京=山田周平】中国政府が打ち上げた月面探査機「嫦娥(じょうが)3号」が14日、月への軟着陸に成功した。無人車を走行させ、将来の資源開発をにらんで地質調査などを行う。月面に機器類を送り込んで探査するのは米国、旧ソ連に次いで3カ国目。中国は有人宇宙飛行と並ぶ大型プロジェクトで実績を重ね、宇宙大国の一角の地位を固めた格好だ。

嫦娥3号は14日午後9時(日本時間同10時)すぎ、月の「虹の入り江」と呼ぶ地域に着陸。2日の打ち上げ後、順調に目的地に到着した。米国の「アポロ計画」などから約40年遅れながら、宇宙技術を世界有数の水準に高めたことを示した。

嫦娥とは中国の伝説で月に住む仙女のこと。嫦娥3号は本体のほか、6輪の無人探査車「玉兎(伝説で月に住むウサギ)号」が探査に当たる。国営中央テレビなど主要メディアは着陸成功を大きく報じ、国威発揚の効果をあげている。

 機器などを制御して落下させる形での着陸は日本などにも実績があるが、月面での活動を前提にした軟着陸に成功したのは中国が3カ国目。玉兎号は時速200メートルで移動し、3カ月にわたって月面を探査。表面の画像を撮影するほか、レーダーを使って地下100メートルまでの地質を調べる。 嫦娥とは中国の伝説で月に住む仙女のこと。嫦娥3号は本体のほか、6輪の無人探査車「玉兎(伝説で月に住むウサギ)号」が探査に当たる。国営中央テレビなど主要メディアは着陸成功を大きく報じ、国威発揚の効果をあげている。

月の土壌は核融合発電の燃料となる「ヘリウム3」が豊富とされ、チタンなど有用な鉱物資源も存在する。「実際に着陸して得られるデータは格段に多い」(日本の文部科学省筋)。中国は月面開発の国際競争の本格化をにらみ、嫦娥3号を通じて発言権を強めることを狙っているようだ。

中国は宇宙開発に積極的で、月面探査のほかに有人宇宙飛行に力を入れている。6月には、有人宇宙船「神舟10号」を打ち上げ、無人宇宙実験船「天宮1号」と中国として2回目の有人ドッキングに成功。2020年を目指す独自の国際宇宙ステーションの運用開始に向け、技術を蓄積した。

12年末には、中国版の全地球測位システム(GPS)「北斗衛星導航系統」がアジア太平洋地域を対象に稼働。米国が運用する既存のGPSとは別の世界を広げつつある。

 一方、日米などは中国が宇宙技術を軍事転用することを強く警戒。実際に、複数の地元メディアは「嫦娥3号の誘導技術は非常に先進的で、中国のミサイル開発に応用できる」などの専門家の見方を紹介している。